昔から私たちの祖先は、人生の節目には子供の成長や、家族が健康であることを祈願して、お祝いをしてきました。ここからは、人生のまつりを順に御紹介しましょう。

腹帯に込める、安産の願い

安産祈願

子供は、神さまから『授かる』といい、神さまからの恵みと考えられてきました。妊娠五ヵ月目の戌の日に氏神さまにお参りし、安産を祈願し、帯祝いを行います。 

帯祝いとは、大切な子を授かった身に感謝し、岩のように丈夫に育ちますようにとの意味の込められた「岩田いわた(斎肌いはだ)帯」をしめる習わしのことです。 

犬は多産で安産であることから、これにあやかってこの日にお参りします。 
最近ではこの伝統的な腹帯の有効性が改めて見直されています。

命の発展を祈ります

産湯(うぶゆ)

子供が生まれてすぐに浴びせる湯のことを、産湯といいます。産湯は産土さま(氏神さま)がお守りくださる土地の水のことで、産湯で子供を清め、生命の発展を祈ります。 

『☆当神社では空のペットボトルをお持ち下されば、お祓いをいたしましたお水を差し上げます。』

人生最初の節目です

お七夜(しちや)・命名

出産後七日目にお祝いをすることをお七夜といい、名前を決めたり、初めて産着の袖に手を通すことが行われます。これは、昔は子供が誕生しても、必ずしも無事に育つとは限らなかったことから、「七日目」を大事な節目とし、お祝いをしたのが始まりです。 

『名前は生涯にわたり、その人を表すとても大切なものです。また、赤ちゃんへの初めての贈り物でもあります。字画による判断だけでなく、読み方・使用したい文字・名前の表すイメージなどを十分に加味して、当て字はなるべく避け、愛情のたっぷり込めた名前を付けてあげて下さい。』

氏神さまに、初めての御挨拶

初宮詣

子供が初めて神社にお参りする初宮参りは、氏神さまに誕生の奉告と御礼をし、氏子として今後の健やかな成長を神さまに見守ってもらうようにと祈願するものです。 

一般的に男の子は三十一日目、女の子は三十三日目に行われていますが、地域によって異なることもあります。子供の体調や天候などにも気を使い、一般的にはこれらの期日の前後で、最良の日を選んでお参りをします。 

『☆当神社では赤ちゃんのお祝い着を無料でお貸しいたします。いくつかございますので遠慮なく申し出下さい。』

食の恵みがありますように

お食い初め(お箸初め・歯固め)

生後百日を過ぎると、食べ物に一生困らないようにとの願いから、お膳を用意し食べる真似をする儀式を行います。これを「お食い初め」といい、ちょうど百日目にお祝いをすることから「百日(ももか)の祝い」とも呼ばれます。

お膳には赤飯や鯛などを載せ、また地域によっては、歯が丈夫であることを祈り、お膳に氏神さまからいただく小石をいっしょに載せるところもあります。 

『☆当神社では初宮詣の記念品の中に、お食い初めセットと白石をお渡しいたしております。』

人形に托す、健やかな成長

初節供

生まれてから最初に迎える節供(句)を「初節供」といい、子供の健やかな成長を祈ります。 

男の子は、端午の節供といい、五月五日に、鯉幟(こいのぼり)や武者人形などを飾り、男の子らしくたくましく成長することを祈るとともに、邪気を祓うとされる菖蒲(しょうぶ)の茎を浴槽に入れた菖蒲湯に入ります。 

女の子は桃の節供といい、三月三日に雛人形を飾り、ちらしずし、甘酒、蛤(はまぐり)の吸物などをいただいて、お祝いをします。地域によっては、身に付いた穢(けがれ)などを雛人形に移して、川や海に流すといった「流し雛」を行っています。

大人の準備が始まります

七五三詣

三歳の男女児、五歳の男児、七歳の女児は家族そろって神社にお参りし、これまでの子供の成長を神さまに感謝し、これからのさらなる成長をお祈りします。わかりやすく言いますと大人の世界に仲入りするための儀式です。

わが国は古来誕生より生育にしたがい各種の儀礼を行ったもので男女共三歳を『髪置』(かみおき)といい、今まで小児の産髪を剃って来たのをこの歳になって初めて髪を伸ばす式、ついで男児五歳を『袴着』(はかまぎ)といって初めて袴を着け始める式、さらに女児七歳を『帯解』(おびとき)といい、それまで付け紐で着ていた着物から帯でしめる着物にかえる式を行って来ました。これを七五三祝として、秋の刈り取りがすんだ11月15日前後に幼児の生育を神様に感謝する習俗となっております。

七五三を終えると地域社会の一員として扱われるようになったのです。この儀式は世と共に多少の変換は致しましたがその本旨は七歳までは小児育成の危険期であるので、之を無事に経過して健やかに成長した喜びを感謝すると共に、さらに将来とも広大の御加護によって小児が益々健全に発育して、強く正しい人間となるよう御祈願を込める大切な意味を持つ事には変りありません。

次の世代を背負い立つ御子様の心身両全の発育は日本の将来にとって大変重要であり、親御様と共に心から願うものであります。

千歳飴(ちとせあめ)

「千年飴」「寿命飴」などとも呼ばれ、子供の幾久しい健やかな成長を祝い、長寿を願った縁起物です。 

紅白の細長い飴が鶴亀、松竹梅などのおめでたい柄の袋に入っていて、七五三の家ではこの飴を御近所に配ったりもします。

決意も新たに、氏神さま参り

入学・卒業

子供の入学や卒業なども人生の大きな節目といえます。氏神さまにお参りをし、今後のさらなる御加護をお願いします。

大人になった、感謝と奉告

成人式

現在は男女とも二十歳になると、氏神さまにお参りして、無事に大人の仲間入りができたことを奉告し、お祝いします。 

昔、男子は十五歳、女子は十三歳頃になると元服といい、髪形をあらためるなどして、社会から大人として認められるための儀式を行いました。 

平安時代は貴族の行事でしたが、江戸時代になると庶民にも広まりました。 

現在は、社会人として、選挙権などさまざまな権利が与えられ、それと同時に法律上の責任や義務も生じ、大人らしい行動や考えを自覚する大切な節目といえます。

明るい家庭と、子孫繁栄を誓います

神前結婚式

結婚は、数ある人生儀礼の中でも最も晴れやかな人生の節目といえるでしょう。神さまのおはからい(御神縁)によって結ばれた二人が神さまの前で、人生の苦楽をともにして明るく楽しい家庭を築き、子孫の繁栄をはかることを誓い合います。 

それぞれの家族が幸せで、安らかな家庭を営めば、健全な社会が構築され、ひいては国の繁栄や世界の平和がもたらされるのではないでしょうか。

三々九度(さんさんくど)

神前結婚式では新郎新婦が互いにお酒を飲み交わし、夫婦の契りを固める「三々九度」という儀式があります。 

平安時代には公家の元服の祝いの際にも行われていました。三度を三度重ねることで、縁起のよい数といわれる陽数、一、三、五、七、九の数の中で最も大きな数である九になり、幾久しく幸せな家庭が続くようにといった願いがこめられています。

人生三度は、厄払い

厄年(やくどし)

厄年を迎える年齢はちょうど精神的・社会的・身体的に転換期を迎える時期と重なり、体調を崩しやすいものです。 

男性は二十五、四十二、六十一歳、女性は十九、三十三、三十七歳で、中でも男性四十二歳、女性三十三歳は大厄(たいやく)とされ、特に慎むことが必要とされ、神社にお参りをして厄祓いをします。 

近年は、女61才の還暦も男女共通で厄年とする場合もあります。

健康で長生きできますように

年祝い(長寿のお祝い)

年祝いは長寿をお祝いし、今後の健康とさらなる長寿を願い行います。数え年六十一歳になると自分が生まれたときの干支(えと)に戻ることから還暦(かんれき)といい、赤いずきんとちゃんちゃんこを着ます。 

古くから年齢は「数え年」で数えます。日本には「零」という概念がなく、生まれると一歳で、新年を迎えると一つ足しました。これはお正月には年神さまを迎えて、その祝福をいただいて、みなそろって一つ歳を取るという考えからです。

【年祝いのいろいろ】

還暦(六十一歳)・・生まれた年の干支にかえったお祝いです

古稀(七十歳) ・・唐の詩人杜甫の詩「人生七十古来稀(まれ)なり」から付けられました。

喜寿(七十七歳)・・喜の略字「 」が七・十・七と分解されることから付けられました。

傘寿(八十歳) ・・傘の略字「?」が八・十に分解できることから付けられました。

傘寿米寿(八十八歳)・・米という字が八・十・八に分解できることから付けられました。

卒寿(九十歳) ・・卒の俗字が「卆」が九・十に分解できることから付けられました。

白寿(九十九歳)・・百の字から一を取ると「白」という字になることから付けられました。

上寿 (百歳)・・六十歳の「下寿」、八十歳の「中寿」に対するものです。